書籍の優れた点は、書き手の体験を擬似体験できるという点にあると思うのですが、内容は優れている一方、これほどまでに「自分自身では経験したくないな」と思ったビジネス書は初めてです（苦笑）笹本さん、お疲れ様でした。イーロン・マスクによるTwitter買収完了から自身の退職までの計215日間に起きたこと、見たこと、聞いたことを元 Twitter Japan株式会社代表取締役である笹本氏がまとめた新刊『イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た「破壊と創造」の215日』にて、215日間の出来事について笹本氏は「インド映画のように５分に１回くらい驚くような展開が」と回想しています。「インド映画のように５分に１回くらい驚くような展開が」と回想される背景には、一部報道にもあったような、次々と実行された破壊的オペレーションが背景にあると思うのですが、内部ではもっと凄まじいことが起きていたことが、本書ではかなり詳細に言及されています。以下、破壊的オペレーションの一部の具体例です。・買収直後、イーロンから質問攻めにあう（事前調査が不十分なまま買収したため）・すべての経費がいったん停止（すべてイーロンの決済が必要となる、交通費、旅費もすべて）・従業員の経費精算は実行されるものの給与に反映されず未払いに・役員に発行されていた会社支給のクレカが未払いで停止（名義は社員名義なので社員がブラックリスト入り）・担当に関係なくSlackでイーロンから直接連絡が来る（担当関係なく連絡がくる、おそらくSlackを開いてグリーンの人に片っ端から聞きたい事を連絡しているとの事）・大規模なリストラが実行、現在の社員数をSlackのメンバー数で把握する状況に（笹本氏クラスでその状況）・ボーナスや報酬内容も勝手に変更・週報の提出を義務化（休職中だろうとバカンスの最中だろうと提出を義務化）・「日本ももっとリストラしろ」という通知に「社員をリストラするなら私から切ってくれ」と反論。その結果笹本氏はリストラにまた広告に限定して読み込んでも、かなり具体的に踏み込んだ言及が数多くなされています。・ティムクックへの訪問は笹本氏クラスの人間にも事前説明なしに実行（Appleによる広告配信停止後の対応、Appleはのちに広告配信を再開）・検索連動型広告は笹本氏の提案によるもの（提案から実装まで2-3週間）・広告をすべてGoogleに販売してもらう形に切り替える案も社内では浮上していた・「広告代理店なんかいらないじゃん」「そんなのAIがあれば解決できるじゃん」とイーロンは発言（イーロンはエコシステムに対して否定的）・米国では広告主離れが起こり売り上げが落ちた一方で日本の売り上げは落ちずまた本書では具体例についてまでは言及されていませんでしたが、イーロンはスピード感をもって対応することを要求することが多々あったらしく、場合によっては「明日からやろう」「3時間でやってくれ」「今からやろう」と言われることもあったそうです。またこれらのオーダーは日本時間で毎週土曜日（おそらくイーロンが金曜日に意思決定している？）になされることが多かったとのこと。これは私見ですが、おそらく2023年4月にあった、認証されたアカウント以外からの広告出稿停止処置に関する大騒動（金曜日の夜間に通達、翌日には広告出稿が停止するアカウントも）はイーロンからの「明日からやろう」の指示によるものであったのではないかと…。真相の程はわかりませんが。また他にも読んでいて「え、それ仮に事実だとして、表に出して大丈夫…？」みたいな情報も多く書かれていました。興味がある方はぜひお手にとっていただければ。

【結論】読み方により賛否がわかれる本だと思います。イーロンマスクについて深く知りたい方は物足りない内容です。貴重な経験をした等身大のビジネスマンの本として読むと共感部分が多いです。【Chapter1 】イーロンマスクについて簡単な紹介です。イーロンマスク氏の本はたくさん出版されていますので新しい情報はありません。知らない方でも本書が読める序章的な位置付けです。頭を整理する上では役立ちます。【Chapter2 】著者の目から見たTwitter買収の一部始終です。この章を期待して手に取る読者も多いと思います。私もその一人です。ただ、想像通りの内容でした。【Chapter3 】Twitterジャパン社長の著者の自伝です。失礼ながら、Twitterの破壊劇がなければ個人出版レベルの内容です。【Chapter4、5】現代日本の業界について著者の見解です。超一流の経営者の自叙伝とみると見劣りすると感じる方も多いと思いますが、普通の日本人ビジネスマンの感性に近い著者の言葉は共感しやすいです。プロゴルファーのプレーをみて、男子プロより女子プロの方がアマチュアゴルファーにとっての参考になることが多い感覚に似ています。

イーロン・マスクとの仕事談は、紙幅の半分くらいしかない。それ以降は著者の経歴と仕事術の開陳。目新しさは皆無で、出羽守まるだし。破壊と再生と頻りに言う割には、具体例はテクノロジーとコンテンツを組み合わせて売物にしたい、というような事。内容が薄すぎて信憑性がまるでない。そもそもサンリオやKADOKAWAなんて既に看板があるのに破壊もなにもない。総じて今さら読む価値は何一つ無い。バブル世代のおっさんが時流に乗って、泡銭稼ぎのおこぼれを拾っているだけ。ゴミ。

タイトルに書いてあることはチャプター2にしか書いてなく、他の章は正直本としてのボリューム維持するために書かれたような内容なので実質3割くらいしか内容はありませんでしたこのボリュームでTwitterの元社長だったらTwitterでバズらせてから書籍化とかしてほしかったです

イーロン・マスクによるすさまじいカオスを経験された著者が、シンプルに記述頂いているが、この経験から学べるものを残さないと。という使命感を読み取った。イーロン・マスクの破壊と創造から、日本の失われた30年はなぜか？これから日本のビジネスマンまたはマーケターとして何をしていくべきか？強烈にかんがさせられる一冊だった。物語としてではなく、天才的な経営者の独特なふるまいの裏にある戦略を読み解き、自身のこれからに活かしたいと思った。